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コラムColumn

コルヒチンについて、2026年2月24日付で電子添文に警告が新設され、さらに2026年6月2日には「痛風発作の緩解」に対する用法・用量そのものが変更され、1日の総投与量は1.5mgを超えないことが明記されました。

これまで電子添文上の用法・用量と、実際に推奨されていた投与量との間には大きな隔たりがありました。今回の改訂では、この点が整理され、より安全性を重視した用法・用量へ変更されています。

MMI 9月号では、この改訂について詳しく解説していきます。

1.「警告」が新設されました

2026年2月24日の改訂で、新たに「警告」が設けられました。

電子添文より
本剤の1日量1.5mgを超える高用量を投与した患者及び重度腎機能障害患者において、 重篤な中毒症状(胃腸障害、血液障害、腎障害、肝障害等)を発現し、 死亡に至った症例が報告されている。1日量1.5mgを超える高用量の投与、又は重度腎機能障害患者への投与は、臨床上やむを得ない場合を除き避けること。また、悪心・嘔吐、腹部痛、下痢、咽頭部・胃・皮膚の灼熱感、血尿、乏尿、筋脱力等の中毒症状があらわれた場合には速やかに医療機関を受診するよう患者に指導すること。
出典:コルヒチン錠0.5mg「タカタ」電子添文

PMDAによる検討では、国内の転帰死亡症例18例のうち、コルヒチンによる中毒症状と死亡との因果関係が否定できない症例が8例確認されています1)。なお高用量投与だけでなく、腎機能障害も重要なリスク因子です。

2.痛風発作時の用法・用量が大きく変わりました

今回の改訂を理解するうえで重要なのが、これまでの用法・用量との違いです。

痛風発作の緩解における用法・用量の変化
従来の電子添文
用法・用量
通常、成人には1日3〜4mgを6〜8回に分割投与。
年齢・症状により適宜増減。
↓
従来の注意事項
用法及び用量に関連する注意
通常、1日1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい。
↓
2026年6月2日以降
現在の用法・用量
通常、成人には1日0.5〜1.0mgを1回又は2回投与。
1日の総投与量は1.5mgを超えないこと。

つまり、従来は「用法・用量」欄には3〜4mg/日という古い投与法が残る一方で、「関連する注意」では1.8mg/日までが推奨されるという状態でした。今回の変更により、用法・用量そのものが現在の安全性情報に合わせて整理されています。

現在のポイント

通常量
0.5〜1.0mg/日
最大量
1.5mg/日
用量
承認された用量を超えて投与しない
参考
1回量・1日量・投与期間は国内の最新ガイドラインを参考にする
中止
疼痛が改善したら速やかに投与を中止する
開始時期
痛風発作発現後は服用開始が早いほど効果的

「たくさん飲んで効かせる」のではなく、早期に、必要最小限の量・期間で使用する薬という位置づけが、より明確になりました。

3.腎機能障害患者では特に注意が必要です

コルヒチンは治療域が狭く、腎機能低下により血中濃度が上昇し、重篤な中毒症状につながる可能性があります。現在の電子添文では、腎機能障害患者について次のように整理されています。

腎機能障害患者での取扱い
禁忌
CYP3A4強阻害薬またはP糖蛋白阻害薬を服用中の腎機能障害患者
投与しない
重度腎機能障害
上記薬剤を服用していない重度腎機能障害患者
臨床上やむを得ない場合を除き投与を避ける。 投与する場合はごく少量から開始し、必要最小限の投与期間にとどめる。
その他
その他の腎機能障害患者
ごく少量から開始し、必要最小限の投与期間にとどめる。

薬局では、検査値が確認できる場合はeGFRや血清クレアチニンなども参考にしながら、腎機能障害の有無と程度を確認することが重要です。なお、電子添文では「重度腎機能障害」を特定のeGFRやCcrの値で一律には定義していません。

4.肝・腎障害患者では「併用禁忌」を再確認

新設された禁忌ではありませんが、今回の安全性改訂と深く関係するため、改めて確認しておきたいポイントです。コルヒチンは主にCYP3A4で代謝され、P糖蛋白の基質でもあります。そのため、肝臓または腎臓に障害がある患者では、CYP3A4を強く阻害する薬剤またはP糖蛋白阻害薬との併用が禁忌です。

CYP3A4を強く阻害する薬剤の例

アタザナビル
レイアタッツ
クラリスロマイシン含有製剤
クラリス、クラリシッド、ボノサップ、ラベキュア
イトラコナゾール
イトリゾール
リトナビル含有製剤
ノービア、カレトラ、パキロビッド
ダルナビル含有製剤
プリジスタ、プレジコビックス
コビシスタット含有製剤
スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス
エンシトレルビル
ゾコーバ
ロナファルニブ
ゾキンヴィ
セリチニブ
ジカディア

P糖蛋白を阻害する薬剤の例

シクロスポリン
サンディミュン、ネオーラル など
※上記は代表例です。実際の処方・調剤時には最新の電子添文をご確認ください。

これらの薬剤によりコルヒチンの血中濃度が上昇し、重篤な中毒症状を引き起こす可能性があります。また、肝・腎障害がない患者であっても、これらの薬剤や中等度CYP3A4阻害薬、グレープフルーツジュースなどは併用注意となっています。

※相互作用薬は上記ですべてではありません。新規処方や処方変更時には、必ず最新の電子添文をご確認ください。

01
痛風発作の緩解なら最大1.5mg/日
通常1〜2錠/日 | 最大3錠/日
0.5mg錠の場合、1日4錠(2.0mg)以上では承認用量を超えます。 痛風発作の緩解目的で処方されている場合は、処方意図を確認します。
※痛風発作の予防、家族性地中海熱では用法・用量が異なります。
02
腎機能障害の有無を確認
高齢者や腎機能低下が疑われる患者では、検査値や既往歴を可能な範囲で確認します。
重度腎機能障害では投与の必要性そのものも確認
重度の腎機能障害が疑われる場合は、処方医との情報共有を検討します。
03
併用薬は追加されたときにも要注意
コルヒチンが継続処方されていても、別の薬が追加されたことでリスクが変わることがあります。
クラリスロマイシン イトラコナゾール シクロスポリン 抗HIV薬 エンシトレルビル
コルヒチンの処方が変わっていなくても要確認
04
早く・適正量で・短く
痛風発作では服用開始が早いほど効果的とされています。 一方で投与量の増加に伴い、下痢などの胃腸障害が増加します。
早期に開始 → 承認用量内で使用 → 改善したら終了
過量投与では重篤な中毒につながるため、量だけでなく投与期間も確認します。

ケアマネジャー・訪問看護のみなさまへ

痛風などでコルヒチンを服用している方に、次のような変化がみられた場合は注意してください。

01
吐き気・嘔吐、腹痛、下痢
02
尿が少ない、血尿が出る
03
手足に力が入りにくい、立ち上がりにくい
04
のどや胃、皮膚が焼けるように感じる
05
発熱、のどの痛み、あざや出血など、血液の異常が疑われる症状
06
最近、新しい薬が追加された
07
腎臓が悪いといわれている

コルヒチンの中毒では、胃腸症状だけでなく、血液障害、腎障害、肝障害、筋障害など重篤な症状につながることがあります。これらの症状に気づいた場合は、速やかに処方医・薬局などの医療機関へご相談ください。特に腎機能が低下している方や、新しい薬が追加された方では注意が必要です。

コルヒチンは「効かなければ増やす薬」ではありません。痛風発作では、

01
早く使う
痛風発作後は早期の服用開始を意識
↓
02
適正量で使う
通常0.5〜1.0mg/日、最大1.5mg/日
↓
03
改善したら速やかに終了する
漫然と継続せず、疼痛改善後は中止

ことが重要です。今回の改訂により、痛風発作の緩解では1.5mg/日が明確な上限となりました。処方監査では「投与量」だけでなく、腎機能 × 併用薬 × 投与期間の3点をセットで確認しましょう。

  • (1)厚生労働省・医薬品医療機器総合機構:コルヒチンの「使用上の注意」の改訂について.2026年2月24日.
  • (2)医薬品医療機器総合機構:適正使用のお願い―コルヒチンの用法及び用量について―.2026年2月.
  • (3)厚生労働省:コルヒチンの使用にあたっての留意事項について.2026年6月2日.
  • (4)医薬品・医療機器等安全性情報 No.431:コルヒチンを痛風発作の緩解に使用する際の安全対策について.2026年8月12日.
  • (5)コルヒチン錠0.5mg「タカタ」電子添文 第4版.2026年6月2日改訂.
  • (6)PMDA:使用上の注意改訂情報.2010年6月1日指示分.
  • ※本記事は2026年9月30日時点の電子添文・行政通知等に基づいて作成しています。実際の処方・調剤時には最新の電子添文や関連ガイドラインをご確認ください。