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コラムColumn

#学会報告

こんにちは。長沼店のOです。

2025年11月1日〜2日の2日間、札幌コンベンションセンターで開催された「第19回日本薬局学会学術総会」に参加してきました。学会報告として簡単に参加レポートと感想を書いていきます(※あくまで個人の感想であり、薬局としての見解を代表するものではないことにはご留意ください)。

今回の学術総会は「岐路から希望へ DXの先にある未来~北の大地から全国へ~」をテーマに、現地参加とWEB配信のハイブリッド形式で開催されました。

人口減少や高齢化、患者さんのニーズの多様化など薬局業界が直面する多くの課題に対し、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIを活用してより質の高い医療サービスを提供していくことの重要性が強調されていました。

プログラムは非常に充実しており、前厚生労働省医薬局長の城克文先生による「2025年薬機法改正とは何だったのか」をテーマとした基調講演、東京大学の池谷裕二先生による「脳とAI、そして未来へ」をテーマとした特別講演など、時代の最先端を行く内容が展開されました。

個人的には「海馬 脳は疲れない」「進化しすぎた脳」など池谷先生の著書を学生時代に愛読していたこともあり、現在取り組んでおられる脳とAIを連動させる「脳AIプロジェクト」の話(脳にAIを埋め込む…!)や大学の講義レポートにおけるAIの活用の話(レポートの作成はAIの使用を前提としたうえで、いかにクオリティの高いものを作るか)など、とてもワクワクしながら拝聴しました。

シンポジウムでは医薬品情報の収集・提供、薬局管理栄養士との協働、服薬指導におけるコミュニケーション技術、患者フォローアップ、生成AI・医療DX、トレーシングレポートなど薬局薬剤師として知っておくべき多岐にわたるテーマが取り上げられており、一般演題でも228もの演題により全国の薬剤師による最新の研究成果や実践報告を学ぶことができました。

シンポジウムはまるで夏フェスのタイムテーブルのように聴きたいものが重なっていて頭を抱えることになったのですが、ここは涙を飲んで自分の興味よりも業務で役に立ちそうなシンポジウムを優先して選びました。在宅分野のシンポジウム「これからの薬局と施設の連携最適化に向けて〜薬剤師の本質的業務を実践するために〜」では、地域に根ざした薬局として取り組むべき課題について多くの示唆を得ることができました。特にSNSを活用した施設在宅における多職種連携についての講演では、実際のSNS活用事例を知ることができ、ぜひ今後の業務で参考にしたいと感じました。

今回の学会で特に印象に残ったのは、DXはあくまで手段であり、その先にある「患者さんとのより質の高い関わり」こそが薬剤師の目指すべき未来だという点です。AIは0を1にするツールではなく1を10にするものであり、薬剤師の専門性を高めるためのパートナーであると。

業務効率化によって生み出された時間を、患者さん一人一人とのコミュニケーションに充て、服薬フォローアップや在宅医療など、薬剤師本来の専門性を発揮していくことの重要性を再認識しました。

今後も定期的に学会や研修会に参加して、最新の医療情報や全国の取り組み事例を積極的に取り入れていけたらと思います。