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12月号のテーマは二日酔いについて!
「昨夜は飲みすぎた…」辛い朝を迎えたあなたへ
12月に入り、忘年会やクリスマスパーティーなどでお酒を楽しむ機会が増えている方も多いかもしれませんね。
お酒はほどほどに、と言いたいところではありますが、「久しぶりに会う友人と盛り上がって、つい飲みすぎてしまった…」そんな経験、誰にでもあると思います。
しかし、そんなときに翌朝待っているのは、ガンガンする頭痛や、ムカムカする吐き気。「一刻も早くこの辛さから解放されたい……」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな辛い二日酔いの朝に試してほしい、おすすめの「レスキュー対処法」をご紹介します。
まずは敵を知ろう。なぜ「二日酔い」になるの?

二日酔いへの適切な対処法を知るためには、まず二日酔いそのものについて知る必要があります。そもそもなんでお酒を飲みすぎると二日酔いになるのでしょうか?
二日酔いの主な原因には大きく分けて2つあります。
- ✔脱水症状:アルコールの利尿作用で体から水分が失われ、脳や体が「水不足」になっている状態(だるさや、ひどい喉の渇きの原因です)。
- ✔有害物質の残り&水分の偏り:肝臓で分解しきれなかった有害物質が残り、さらに血管から水分が漏れ出して「むくみ」が生じている状態(頭痛や吐き気の原因です)。
つまり、回復への近道は「失った水分を補給すること」と「水分の偏り(むくみ)を整えること」です。
二日酔いレスキュー3選
① まずは「水」!おすすめは経口補水液やスポーツドリンク

二日酔いの体は、カラカラの砂漠状態です。まずは失われた水分とミネラルを補給しましょう。 ただの水やお茶よりも、体への吸収が早い「経口補水液(OS-1など)」や「スポーツドリンク」が特におすすめです。冷たいと胃を刺激してしまうので、常温で少しずつ飲むのがポイントです。
ただし、特に経口補水液は塩分やカリウムが多く含まれているため、高血圧や腎臓病などで塩分・カリウム制限がある方は注意してください。
② 薬に頼るなら?症状別のおすすめ

辛い時は無理せず、お薬の力を借りるのも賢い選択です。自分の症状に合ったものを選びましょう。
- ✔「頭痛」や「顔のむくみ」がある時
- 漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」が有名です。
- 二日酔いの時、体全体は水不足ですが、血管から漏れ出した水分が、脳(頭痛の原因)や胃(吐き気の原因)に溜まっています。これは漢方でいう「水滞(すいたい)」という状態です。
- 五苓散は、この「水のバランス(偏り)」を整え、余分な場所に溜まった水をスムーズに循環・排出させてくれるため、二日酔いに対してよく用いられます。
💡 薬剤師のワンポイント解説:五苓散のエビデンス 「漢方って、なんとなく効くだけじゃないの?」と思われるかもしれませんが、五苓散は科学的な裏付けもしっかりしているお薬です。
1. 国が認めた「効能・効果」です
医療用医薬品の公的な説明書(添付文書)にも「二日酔」への効果が記載されています。
2. 「アクアポリン」への作用が解明されています
近年の研究で、五苓散は細胞にある「水の通り道(アクアポリン)」に作用し、余分な水だけを排出させることがわかってきました。「必要な水は残し、余分な水(むくみ)だけを取る」という働きが科学的にも示されています。
その他、半夏瀉心湯や黄連解毒湯も「二日酔」に適応があります。半夏瀉心湯は胃腸症状がメインでみぞおちのつかえ、吐き気や下痢(軟便)を伴う場合に。黄連解毒湯は体力があり、顔が赤く、のぼせ、イライラ、動悸がある場合に適しているでしょう。
- ✔「吐き気」や「胃もたれ」がひどいとき
- 症状によって合う薬が少し異なります。
- ・胃が痛い・胸焼けがするとき: アルコールで胃酸が出すぎて荒れている状態です。「H2ブロッカー」や「制酸薬」など、胃酸を抑えるタイプが適しています。
- ・胃が重い・食欲がないとき: 胃の働きが弱っています。「健胃薬(生薬配合)」や「消化酵素」など、消化を助けて胃を動かすタイプを選びましょう。
- ✔「だるさ」が抜けない時
- 肝臓がアルコールの処理に追われて疲れ果てているサインです。エネルギー不足も重なっています。
- ・肝臓を助ける成分: 「肝臓水解物」や「L-システイン」が入った医薬品が、肝臓への栄養補給になります。
- ・エネルギー補給: アルコール代謝で大量に消費された「ビタミンB群(特にB1)」を補うことで、体の重さが楽になります。
※頭痛がひどいからといって、痛み止め(解熱鎮痛剤)を安易に飲むのは注意が必要です。弱った胃に負担をかけ、荒らしてしまうことがあります。
③ 食事がとれそうなら「肝臓いたわりご飯」を

少し吐き気が落ち着いて、「何かお腹に入れたいな」と思ったら、傷ついた肝臓を修復してくれる食材を選びましょう。
- ✔しじみのお味噌汁
- しじみの「オルニチン」は尿素回路を活性化し、アルコール代謝に伴い発生するアンモニアを解毒すると考えられています。温かい汁物は胃にも優しく染み渡ります。
- ✔ごま(セサミン)
- ごまに含まれる「セサミン」には、肝臓の酸化ストレスを軽減してアルコール分解酵素の活性を高める動物実験データや、ヒトにおいて血中アルコール消失速度を早める可能性が示唆されているようです。ご飯やうどん、お味噌汁に「すりごま」をたっぷりかけるのがおすすめです。
- ✔納豆(ビタミンB群・タンパク質)
- アルコールを分解するために大量に消費されてしまった「ビタミンB群」を補給できます。体の元になる「タンパク質」も豊富なので、回復食としてぴったり。ただし、納豆はビタミンKを多く含むため、ワーファリン服用中の患者さんには禁忌です。
- ✔卵(L-システイン)
- 卵には上述した医薬品の成分で、アセトアルデヒドを無毒化するグルタチオンの原料であるL-システインが含まれています。温泉卵や卵雑炊など、消化の良い形で食べましょう。
- ✔梅干し(クエン酸)
- 疲労回復効果のあるクエン酸が、TCA回路を回してエネルギー産生を助け、疲労回復に寄与します。唾液が出ることで消化や飲酒後の口の渇きも助けてくれます。
また、アルコール代謝による糖新生の抑制で飲酒後は低血糖になりやすいため、おにぎりやうどん等の炭水化物も理にかなっています。
これらは食べ物であり即効性があるような特効薬ではなく、あくまでもサポート役です。まずは水または経口補水液を飲み、その上で卵入りのうどんや、しじみのお味噌汁などを摂るのが回復を早める組み合わせと考えられます。
【おすすめメニュー】 コンビニで買うなら、「納豆巻き」や「梅おにぎり」、「かきたまスープ」などが、体に優しいおすすめの組み合わせです!
次回からは「予防」もセットで!

もちろん一番の対策は「飲みすぎないこと」ですが、それが難しいときもありますよね。次回の飲み会では、以下のことを意識してみてください。
- ✔「和らぎ水(やわらぎみず)」を飲む:お酒とお水を交互に飲むことで、脱水を防ぎ、アルコールの量も抑えられます。
- ✔空腹で飲まない:最初に枝豆や豆腐、サラダなどを食べて、胃にクッションを作りましょう。
まとめ
「どの胃薬が良いかわからない」「頭痛薬と胃薬、一緒に飲んでいいの?」 そんな疑問があれば、お気軽に薬剤師へご相談ください。
年末年始、体調を整えて楽しく乗り切りましょう!

